Platanus’s Favourite

お気に入りだけ。「殿堂入り」BL作品の感想。
すべてネタバレ感想なので、ご注意ください。
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好きで好きで好きで

高遠 琉加
ビブロス
(2004-01-15)

しっとりとした落ち着きを感じる作品。
バタバタとした印象の多いBLの中では、こういう心情の流れに重点を置いた作品というのが意外に少ないように思う。まあドラマティックな展開の続くラブロマンスも好きなんだけど、たまには等身大のキャラによる現実味のある恋愛が読みたい。
この作品はそういう期待にきっちりと応えてくれる。

尖ったところ、重たさ、暗さ、痛さ。そういうものが少ない、疲れたときに読んでも精神的なキツさを感じない種類の作品だと思う。読みやすいと感じる理由にもいくつか種類があって、単に明るくて軽い作品、優しい雰囲気の作品、リアリティの薄いほのぼの系…、と色々思いつく。
これは分類すればセンシティブ、切ない系になりそうだけど、負担がなくて読みやすい。主人公に感情移入してるから、途中でちょっと泣きそうになってしまう場面なんかもあるんだけど。なんていえばいいのか…、全体の目線が優しくて、柔らかい書き方だからか、胸が痛くなるような切なさではなくて、終わってしまった恋を思い出して落ち込むみたいな感覚というか。うーん、なんかちょっと違う。それだと切なさが迫ってこないみたいだ。しっかり切ないのは切ないから……。
三浦が羨ましくなるのかな。恋愛がうまくいかないとき、どれだけ辛いかは知ってるわけだけど、そこまで辛くなるほど好きになれるっていいな、って激しい恋に憧れるような気分になるから、感情移入していても、切なさも素敵だなって思えるのかもしれない。

派手さはない分、丁寧にキャラの心情が語られるので、知らず知らずに感情移入してしまう。
主人公の三浦は特別なところはないけど、親切で優しくて、人に合わせるのも上手い、付き合いやすそうなタイプ。その三浦が好きになったのは、高校のクラスメイトの堂島。どちらかというと一人でいることを好み、でも人付き合いが苦手とかいうわけでもない、高校生にしては落ち着いていて大人っぽいタイプ。
三浦がなぜ堂島を好きになったのか、明確な理由はない。でも人を好きになるのって理屈じゃないよなあと思わせる説得力みたいなものがある。
三浦は高校のときに堂島に振られてしまうのだが、5年後にバイト先の花屋で再会する。堂島はその花屋の娘と付き合っていて、三浦に対して普通の友達として接してくる。三浦のほうは動揺して、やっぱり堂島のことが好きで…。
三浦のこの一途でいじらしい片思いが、この話のすべてだと思う。きちんとストーリーやディテールも楽しめるんだけど、ここまで自然な心の動きを重視した作品は珍しいというか。かなわない恋心や嫉妬もドロドロさせずに、適度なリアリティを保ちつつ、独特の瑞々しいタッチで描いているところがいい。
話のどこがいいっていうんじゃなくて、とにかく三浦のいじらしさがいいと思う。

続きは堂島の視点に移る。堂島は三浦が好きなっても不思議じゃないだけの魅力を備えた人だけど、三浦の視点を離れてしまうと、なんでそんなに好きなんだろうね?という疑問はちょっとわいてくる。
でも話が進んでいって、堂島が三浦の一途な気持ちに気付いて、三浦を意識するようになると、三浦の気持ちにもまた共感できるようになる。堂島が三浦を気にしてしまうように、三浦も堂島が好きで好きでしょうがないだけなんだという気がしてくる。
話の後半、堂島の身勝手さに腹が立ったりもしたが、普通に意地悪だったり不器用だったりする、等身大の堂島のキャラにかえって親近感がわいた。
長く切ない片思いのあとの甘くて爽やかなラストは感動的だった。
本当によかったね〜。

高遠琉加 | comments(2) | -

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Comment
こんにちは!
リンクの件、ありがとうございました!
遅くなって申し訳ありませんでした(>_<)

この作品、私も好きです!
リリースの回転が速い私ですが、ちゃんと思ってます。
私は、読んだ当時ボロ泣きしましたよ(笑)
タイトルと中身が、シンプルなんだけどすごくあってると思います。
南風 : 2009/04/09 9:22 PM
こんばんは!
こちらこそリンクありがとうございます♪
「殿堂入り」作品の感想だけということで、なかなか更新できないのですが、よろしくお願いします〜。

南風さんもこの作品、ご存知でしたか!
ちょっと地味めですが、その分読ませますよね〜。
タイトルは本当に作品に合っていると思います。おっしゃるとおりシンプルなタイトルなのに、ストーリー同様に直球勝負で丁寧な感じがして好きなタイトルです。読み終わったあとに、しみじみぴったりだと思いました。
りょう : 2009/04/10 1:57 AM









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