Platanus’s Favourite

お気に入りだけ。「殿堂入り」BL作品の感想。
すべてネタバレ感想なので、ご注意ください。
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交渉人は休めない~榎田尤利100冊記念特別版~

100冊目、おめでとうございま〜す!
すごいなあ。私は何冊ぐらい読んでるのかな。
70冊ぐらいかな?と予想しつつ数えてみたら、これが85冊目だった。
おお〜、思ったより多い!

お久しぶりの交渉人シリーズ。
番外編だけあって、今回はのんびりムードで楽しかった。
やっぱり、このシリーズには、こういうお気楽な話のほうが合ってると思う。1巻が1番好きだったかも。
エダさん、ほんとに沖縄好きだな〜。
いつものメンバー&南国ムードにリラックスしつつ、一気読み。
本編より兵頭との時間もたっぷり取れてたし、事件も面白かった。欲をいえば、もう少し芽吹の交渉人らしい活躍も見たかったかな。

あー、またシリーズ再開してくれないかな。

特別版って値段高いなあと思ってたんだけど、別冊の書き下ろしが、短いながらも素敵なお話で、大満足。最初は、また第三者視点か〜(しかも男女カップル)とか思いもしたけど、上手いこと4カップルを繋ぎ合わせてて、主人公カップルも上手くいって。実にエダさんらしく、器用でサービス精神たっぷりの番外編だった。
これはまた読み返したいかも。
そっか、その3カップルが人気なのかー。2位がちょっと意外な気もしたけど、納得はできる。
みなさん、お元気そうで。
それにしても、久留米と魚住、10年遠距離ですか! 年に何回かしか会えない状態で、そんだけ続くのがすごい…。

榎田尤利 | comments(0) | -

交渉人は愛される

シリーズ完結。
ハイアベレージなシリーズなだけに、もう少し続けてほしかったような、だらだら続かないことにほっとしたような…。

面白かった。
交渉人は、こういう書き方で続けてくれるといいな〜と思った最終巻だった。
3〜5巻ぐらいまでの「重たい、暗い」路線は、全体の流れとしては必要だったのかもしれないけど、あまり趣味に合わず…。
私が「交渉人」シリーズに求めてるものって、テンポのいいコメディタッチのストーリーと、芽吹の頑張りと交渉人としての仕事、仲間たちの人情なんだと思う。
だから、そこそこ明るくテンポよくて1冊読みきりの、今回みたいな話がちょうどいい。(まあ今回は芽吹も兵頭もボロボロだったけど…そこは最終巻なんで)
増えてきたキャラも毎回全員出す必要はなくて、適当に顔を出してくれればいいと思うし、持ち込まれる依頼もカーチェイスしないといけないような、派手な難しいものじゃなくていいと思う。むしろ冒頭に出てくるような小さな(?)依頼こそ、芽吹の良さが発揮されるような気がするし。
そんなわけで、このシリーズ本来の形にようやくもどったかな〜というところで、一旦終了というのはちょっと残念。

桃子はいいキャラだな〜。キヨは恋愛が絡んでいないときのほうが魅力がある…。
芽吹は今回も男前でカッコよかったなあ。強さと弱さを両方持っているところが好き。

両親の写真には感動した。もう取り戻せないものだけど、「子供を残して自殺してしまった」ということだけが、すべてじゃないって思えて。
兵頭の舎弟たちとの会話を通しての、兵頭と自分の仕事に関しての芽吹の結論に納得&安心した。
最後の教会の場面は穏やかでよかったな〜。愛の誓いの言葉じゃなくて、仲睦まじいキスだってあたりも。

いつか続きが読みたい。
番外編という形で読めるんじゃないかと、かなり期待している。

榎田尤利 | comments(0) | -

交渉人は諦めない

電車の中で『〜嵌められる』を読み終わったので、続きは憂鬱な月曜日の楽しみに取っておこうと思っていたんだけど、我慢できずに『〜諦めない』も読んでしまった。一気読み。
というわけで、2冊セットで感想。

まず安心したこと。
交渉人シリーズはこれで終わりじゃなかった!
緊迫した展開や2冊同時発売や次巻がスピンオフということで、まさかこれで終わり?と心配していたけど、まだ続きがありそうな雰囲気。
面白い作品だからこそ、あまり引っ張らずに終わってほしいという思いもあるが、エダさんは今回もしっかりクオリティを保っている!
これなら続刊にも期待できるし、「長くなると間延びしてクオリティーが落ちる」というシリーズものの悲しい法則に当てはまることはなさそう。

冒頭の恒例となってきた芽吹のコスプレだが、今回はヤクザだった。芽吹は頑張っていたが、うわ〜、似合わない(笑) 優男な風貌だし、弁が立ちすぎて、凄んでもヤクザっぽいイメージじゃないなあと。

今回は芽吹の過去の話が明らかになり、重たい展開が続いた。芽吹の軽い一人称が魅力の作品だが、今回は三人称が多くて、あちこち視点が飛ぶので落ち着かなかった。それが読みづらいってわけじゃなくて、先の見えない感じと「何か裏があるらしい」という不安感を煽られて、ストーリーに合っていたと思う。こういうところも上手いなあと思う。
芽吹と兵頭の利害が対立してしまった場面では、最初は兵頭の行動を残念に思った。けど、恋人を優先して信念を曲げないところがこの二人の魅力なんだろうなあと思い直した。…まあ正直、ヤクザの信念なんかどうでもいいけど、兵頭は世話になった人のために、芽吹は亡き親友のために譲れなかったわけで、結局同じ理由なのかな。
タイトルどおり、芽吹の活躍があまり見られなくて残念だった『〜嵌められる』だが、芽吹の過去がじっくり語られてよかった。痛手から少しずつ立ち直っていく学生時代の話、その後、親友を失って絶望する話。本当に辛い過去が続いているが、そこから這い上がることができた芽吹は強いなあと惚れ直した。

『〜諦めない』では、最初のほうから「反撃はもう始まってるんだな」と分かる伏線(プラグソケットとビー玉)がきっちり張ってあるのだが、それが分かっていても芽吹にとって痛い展開が続き、読んでいてしんどい部分があった。私は芽吹と違って兵頭を信用していないので(笑)、ちょっと兵頭が嫌いになった。
芽吹は自分で思っている以上にタフな人だなあというエピソードが続いたし。
芽吹が盗聴に気付いていたというのは分かっていたが、ビー玉の使い道は分からず、種明かしで驚いた。たったそれだけのメッセージで…二人の絆の強さが改めて分かるエピソードで、不足しまくりだった?ラブ部分でも最後に大満足。

今回大活躍だった?環は、確かに強い敵役だったのかもしれないけど、USBを持ち歩いていると分かっていて、ヤクザが手を出せないものかな〜という疑問がちょっとあった。あと、「気に入らない」とかいう感情的な理由だけで動く敵というのはあまり好みじゃなく、面白くはあったけど、個人的にはそこだけ物足りなかったかなあ…。

3冊ほどヘビーな展開が続いた。もちろんそれも読み応えがあって最高に面白かったけど、次回は芽吹の一人称オンリーのコメディーに戻して、依頼人を助ける芽吹の活躍を描いてほしいなあ。笑えるコメディー作品って数が少ないので、このシリーズには笑いも期待してしまう。

榎田尤利 | comments(0) | -

交渉人は振り返る

榎田 尤利
大洋図書
(2009-05-28)

 シリーズ第3弾。
2冊目でも書いたが、あまりに前作の出来がいいため、ネガティブな私は「今回は大丈夫だろうか?」と心配していたのだが、まあ杞憂だった。
さすがエダさん!
今回もすごく面白かった。


しかし、3冊続けてこのクオリティ。驚異的だなあ。

交渉人としての仕事は、みんなで鍋をつついて和気藹々としながらも兵藤の登場で怖いところに行ってしまう(笑)という、ほのぼのテイストだった。なんかいいなあ、このチームプレー。脇役まで味があって、みんなそれぞれ魅力的。人情路線なのも、このシリーズのよさだと思う。鍋には参加してないけど、もちろん七五三野も好き。保護者として?兵藤に対抗するってポジションがいいなあ。

今回も最初から笑わせてくれ、テンポもよく、すぐに引き込まれた。で、また1つの事件に1冊かけ、芽吹の手腕で解決していくのかと思っていたら、1巻とも2巻ともまた少しテイストを変え、すごくシリアスだった。扱う事件よりも、芽吹の過去と、交渉人を続けていく上での1つの転機になりそうな出来事にスポットが当たっていたような。これが今後にどう影響していくのか、まだちょっとはっきりしないけど。
暗めで重くて、事件だけを見るなら救いがなかった。芽吹や事件関係者の心の痛みは十分すぎるほどに伝わってくるし、ギリギリのところまで踏み込んだ描写になっていて、かなり読み応えがある。
でも内容に比して、読みやすい。描写が足りないわけでも、逃げた書き方をしているわけでもないのに、読んでいて苦痛が少ない。…たぶん、自分の弱さから目を逸らさず、しっかりと向き合おうとする芽吹の強さが読み手の気持ちまで救ってくれるからだと思う。感情移入して読んでいるから、芽吹が幻覚の中で自分を糾弾したり、事件のその後を知る場面は痛いし、辛いのだが、それだからこそ芽吹の真っ直ぐなところがさらに感動的で……。難しいことだと理解した上で、人を信じたいと願い続ける芽吹は、本当に魅力的なキャラだと思う。
次回はまたさらに芽吹の過去に踏み込むのかな。ますます目が離せない。

兵藤とのエピソードもよかった。とくに海岸でコートを借りるところ。たまには慰めてもらうのもいいんじゃないかと。寄りかかるんじゃなくて、立ち上がるのに手を貸してもらうような関係がいい。
このふたりは立場や価値観や生き方まで違っていながら、互いを必要とし、しっかりと絆がある。甘い言葉を交し合うより、もっと深い愛を感じた。
芽吹が目を覚ました場面で、兵藤が助けに来たことがわかって安心できたのも、こうした積み重ねがあるからだと思う。ラブの面でも大満足な1冊だった。

次回はどういうテイストでくるのかな。
とにかくひたすら4巻が待ち遠しい。
榎田尤利 | comments(0) | -

交渉人は疑わない

榎田 尤利
大洋図書
(2008-10-30)

1作目が面白ければ面白いほど2作目は過度に期待してしまう。それだけ作品の出来に対する心配も大きくなるものだが、さすがエダさん!

面白かった!
1巻とキャラも違っていないし、パワーダウンもしていない。相変わらずのテンポのよさや巧みな交渉場面も楽しい。
やっぱり芽吹は男前で面白かった。冒頭でいきなりホストになってるのも楽しかった。顔もよければ話も楽しい芽吹には、ホストも向いているかもしれないが、素敵、うっとりvみたいなカッコよさにはならず、愛嬌があるのがいいと思う。
全体に1巻のような緊張感はなかった。緊迫する場面も少なかった。ただ本筋になっている依頼を追っていく過程が1巻よりすっきりしているので、芽吹の仕事に対する姿勢やプライド、この作品の持ち味でもある人情味が分かりやすくなっている。2作目らしい余裕が出ているというか。
兵藤との関係もいい感じで。まだ(というより、これからも?)照れや戸惑いはあるけど、肝心なところでは逃げずに相手を受け止める芽吹は本当に度量が大きいし、情も深い人だ。
兵藤も一途で、ホストクラブの客にまでいちいち嫉妬しているあたりが、可愛い年下攻って感じ。強引だけど無理強いはしないし、本当に芽吹が好きなんだなーと伝わってくるところがいい。七五三野の登場でまた兵藤が面白くなってくれそうで楽しみだ。
意外な組み合わせのカップルもできそうで、こちらも楽しみ。
イラストは顔が怖くなってしまったので、次回はもうちょっと色気を増量してほしい……。
あの携帯のイラストはよかった。
榎田尤利 | comments(0) | -

交渉人は黙らない

榎田 尤利
大洋図書
(2007-02-23)

面白く読んだけど、ものすごくどうでもいい感想になってしまった…。
お好きな方はスルーしてください。自分の備忘録です…。

わりと軽いのりだった。サミュエル・L・ジャクソンより真○下正義でいいんじゃない?
ちょっと苦手な第三者視点から始まったのだが、すぐに気づかず、最初は高齢者受かと期待(?)し、次に回想もの?と誤解し、最後にずっと高齢者視点なのかと怯えたりもした。
で、主人公に視点が移ったらいきなり一人称だったので、またちょっと読みづらく思ったが、基本的に読みやすい文章を書かれる方なので、その点は問題なく。
生意気な(?)攻も年下で敬語だから、まあいいかという感じで。ヤクザものなので、イヤだなあと思うような展開もあったが、ピアスと同じ理由…つまり痛そうで苦手な、刺青を無理矢理受に入れるという勘弁して欲しい展開もなかったし。
主人公がなかなか面白い性格だったので、BLとしてより、エンタメとして普通に楽しく読んだ。(別にBLとして物足りなかったという意味ではなく)
弱いくせに事件に首を突っ込むところとか、私が個人的にBLのNGワードとして指定登録している(裏表紙で煽りに使われている)攻の台詞に怒ったりとか、親しみやすいタイプだった。
脇キャラまで味があって楽しめたし。でもキヨはちょっと脇としては濃すぎる気がしたけど、スピンオフ予定なのかな?(私が知らないだけで、この作品のほうがスピンオフだったり…)
そういえば、一箇所だけアウディがカローラに直されてないところがあって、初期設定はアウディだったんだなと分かって楽しかった。まああとがきを読めば分かることだが。あれはやっぱり二刷?で直されるんだろうか。

もしかしたら全部交渉術で乗り切っちゃうのかと思ったが、最後は攻に活躍の場があって、攻のためにほっとした(笑)
榎田尤利 | comments(0) | -

執事の特権

榎田 尤利
大洋図書
(2006-01-26)

冒頭でまたなんか強引な設定だな好きだからいいけど、とか思って読み始めたら、その強引なところが無理なくおさまっていって爽快だった。
仕事ができると知った時点で旦那様にはかなり好意的だったが(…)、旦那様と執事(老紳士のほう)の信頼関係がすごくいい感じで。ラストの常識的な旦那様はなんか可愛い。
秘書(または新米執事)のほうも下僕にはならず、下克上もせず(?してたかも)、最後まで忠誠を尽くしていてよかったな。
しかし、タイトル。ひねくれた読み方をする私は、ここまでストレートな意味だとは期待してなかったのでサプライズな喜びがあった。
榎田尤利 | comments(0) | -

吸血鬼には向いてる職業

榎田 尤利
リブレ出版
(2007-09)

面白かった!
や〜、読んでいて本当に楽しかった。しあわせ〜。
しかもついに…!
ついにエダ作品が3拍子揃って私の趣味に合いました!
ストーリー、キャラ、文章。全部が完全に好みだったのは初めて。
とくにネックになることの多かった「キャラ」が好みだったのが大きい。

ちょっと誤解されそうなので書いておくと、今まで読んできた他の作品も作品の質に対して不満はないです。ちょっと好みと違っていたというだけで、面白いと思っています。


笑った〜。最初から最後まで笑いっぱなしだったような。
また電車の中で不審者になってしまった。笑いを噛み殺してニヤニヤしながら読み、電車を下りた読了後は思い出し笑い。まわりの人は相当気持ち悪かったのではないかと…。

文章
いつも読みやすい文章だと思っているが、私は一人称が苦手だったり、三人称で視点の切替を頻繁にされるのはどうも…、というかなり偏った趣味。しかも第三者視点が苦手なのだが、エダ作品では頻繁に出てくる。
第三者視点と三人称での視点の切替がなぜ苦手かというと、欲しい場面で欲しい心理描写がないと物足りないから。これは好みの問題で、書き方に不足があるわけではないのだが。
そういうわけで、今回は欲しいところに心理描写がきちんと入っていたので気にならなかった。

キャラ
待っていました、マンガ家攻!
黒田瑞祥先生、カッコイイです。吸血鬼らしい?クールな美男子ぶりを発揮しつつ、作品は『ゴスちゅる』だし、頭の中身が面白おかしいところがたまらない。親しみやすい人外魔物だった…。
野迫川はオタク編集者なのだが、これまたカッコイイ。顔もいいのだが、オタクぶりがカッコイイという珍しいタイプ。社交的で清潔感があるのでマイナスイメージはないし、夢中になれるものがある人っていいなあと思える。
これは毎回のことだが、脇に出てくるキャラもそれぞれ味わいがあっていい。

ストーリー
とにかく笑える。それだけで満足なのだが、恋愛部分、仕事部分も楽しい。このマンガ家シリーズでは、作中作のマンガと主人公たちの気持ちが自然にリンクしていて、特殊な職業が活かされている。そこらへんも面白い。
明るくてテンポもいいし、笑えるし笑えるし、甘い部分もきっちりあるし、ちょっと切ない部分も織り込まれていて上手い。
とくに吸血鬼ものとしてはやっぱり欲しい要素、「不死者の孤独」についてもきちんと描かれているのがいい。ラストの切ない幸福感が素晴らしかった。野迫川はそのときがきても、黒田の旅を終わらせてあげることはできないような気がする…。何が優しさで何が愛なのかと考えさせられる。
「めでたし、めでたし」で終わらない深みがプラスされ、心に残った。
シリーズは次で終わりだそうだが、続編が読みたくなってしまった。


【感想2】
上で文章について書くつもりが視点のことしか書かなかったので、気に入った文を引用してみようかと。
あまりにも漢字変換が面倒くさそうなので引用を迷ってしまったが、この作品で最初に痺れた名文を。

「橈側手根屈筋が攣れるほどに、強く。」(P9)
楽しい。もうこの一文を読んだだけで、この作品好きだなーと思ってしまった。面白いだけじゃなくて、一文としてのリズム、的確さがある。こういうのを書ける人はなかなかいないのではないだろうか。
あとはこれ。
「八月の夜風が、藍のヘアピースを靡かせている。」(P109)
このセンスが素晴らしい。さりげなく笑える。油断していたので、噴き出してしまった。
笑ったところは数が多すぎるし、全部書いても仕方ないので書かないが、この二つは文章の力で笑ったという感じなので抜き出してみた。

ついでに気に入っている台詞も引用。
「先生はね、僕のような美青年がお好みなんですよ」(P102)
並の編集者には言えない台詞だ。見上げたオタク魂…いや、編集根性に感心した。
…この場面、本当に電車の中で苦しかった。やー、笑った。

「つまりあれだ。献血にご協力くださいというやつだ」(P129)
黒田先生にしか言えない口説き文句。その後の殺し文句も野迫川にしか使えないものだし、笑いを取りつつ愛も感じさせるなんて、さすがです。
腹筋を鍛えられたし、先生に惚れ直しました。

吸血鬼というモチーフを使った作品が結構好きだ。
吸血鬼ものとしてこの作品を見ると、やはりコメディなので、ずいぶん制約の少ない、人間的な吸血鬼になっている。そうやって吸血鬼もののとっつきづらさを取り払っておいて、ポイントはしっかり押さえているので物足りなさはない。バランスのよさが、さすがエダさんという感じ。
吸血鬼もののラブストーリーできっちり書いてくれないと気がすまないのは、この先どうするの、という問題。つまり、相手を仲間に引き入れるかどうか。
愛する相手を吸血鬼にしてしまう、という選択は、どうも好きになれない。人間としての生活を捨てて、永遠の命を手に入れ、永遠の愛を誓うというのは、美しいかもしれないが、私の趣味に合わない。「めでたし、めでたし」は限りある命だからこそ意味のあるラストだと思うし、やはり不死者が不死でいることは「呪い」じゃないと、吸血鬼ものの美学に反する。
この作品では最初から野迫川を仲間にするという選択肢がなかった。黒田は愛する人に「呪われた生」を与えたりしない。「死後」に誰の記憶にも残らないような「生」はやはり呪われたものだし、そういう点を曖昧にしなかったことがこの作品のよさだ。
野迫川は黒田の孤独を本当の意味で理解しているのだろう。「黒田の旅を終わらせるかどうか」を選ぶというのは、愛していればいるほど難しく、相当な覚悟がなければできない。野迫川が選ぶ覚悟をしたということは、黒田の苦悩を丸ごと引き受けたのと同じ意味を持っているのだと思う。
重苦しくせずにこういうのを表現できるところも、改めてすごいなあと。
榎田尤利 | comments(0) | -

神さまに言っとけ

榎田 尤利
大洋図書
(2003-11)

この作品を人様に貸してもらった本の中に見つけたときは、ついにこれを読むときがきたか…とちょっと黄昏た。(失礼で、すみません)
エダさんは普段私の癒し系指定図書だが、今回は課題図書だった。
今までにも何度か手に取る機会はあったのだが、表紙を見て毎回そっと棚に戻していた。あらすじも読まなかった。だってふわふわ頭で眼鏡の純情可憐そうな男の子だし、花屋だし。どう考えても私の趣味からいえば、受け付けない設定だ。いくらエダさん×SHYノベルズでも、これは無理だろうと。
心が汚れてしまったせいか、もとからひねくれているせいか、純真、健気、無垢なキャラにはどうも拒絶反応が出てしまう。しかもそれらのキャラは「天然」と呼ばれる空気が読めないタイプだったり、頭が悪かったりというオプションがつくことが多いので、カンベン〜なことが多くて。もちろん趣味の問題なので、そういうのがお好きという方にはご容赦いただきたい…。

それにしても長い前置きだった。

おお〜、ヤクザ視点! これは楽しい。なんだかいろいろ共感しやすいし…。
なんだか好みだ、惣田。表紙は清水だから若々しくなっているが(笑)、惣田天使のイラストも結構ツボだった。
受の眞はもさもさっとしていて、水気少なめの歯応えに欠けるリンゴみたいな子で、やっぱり無理…と思った。だってこの子が落とされたって、別に面白くないよ?と。
エダ先生の文章は読みやすいので、設定・キャラで無理と思っても、面白く読み進めることができる。わりと見る気がする設定だが、いきなり同性愛を要求する神様ってのは珍しい(笑) 天使も結構いい性格だし、堅苦しい倫理を押し付けられることもないし、かといってどうでもよくなるほどコメディ路線でもない始まり方で、入りやすかった。
ちょっとほろりとさせられたり、考えさせられたり、相変わらず上手な話運びでテンポよく進む。たぶん、主人公が眞に好意を抱いていくのと同じ速度で、こちらも眞の魅力が分かってきて、いろいろひどい目にも遭っているが、毎日が楽しいなあという気分が伝染してきて、残り日数が気になり始める。感動させてやろうっていう作者の意図が透けて見えると白けちゃうものだし、こういう気分を自然に味わえる小説って意外と少ないと思う。さすがエダさんだ。
さっきありがちな設定だと書いたが、この設定だと幾通りかのラストが考えられるので、どのラストにおさまるのかは分からず、そういう意味での緊張感は最後まで続いた。時々シビアな部分も混ざっていただけに、どうせハッピーエンドでしょ、とは思えず。いやハッピーエンドなのは疑っていなかったが、ハッピーエンドにも種類があるし、だいたい最後まで見届けないことには落ち着かないというか。
ほんわかした話なのにスパイスは効いていて、考えさせられるような深い部分もあって、でもやっぱり暖かい気分で読了できる。いい話だった。
眞が趣味に合うかと聞かれれば、やっぱり趣味ではないんだが。
ただ惣田の相手はやっぱり眞がいいと思うので、単品ではともかくセットとしては趣味に合ったらしい。
うーん、そういえば惣田は転職するんだろうか。
榎田尤利 | comments(0) | -