Platanus’s Favourite

お気に入りだけ。「殿堂入り」BL作品の感想。
すべてネタバレ感想なので、ご注意ください。
<< September 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

*Profile
*読書メーター
りょうの最近読んだ本
*Selected Entries
*Categories
*Archives
*Links
*Recent Comments
*Others

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | - | -

お菓子の家: 〜un petit nid〜

凪良 ゆう
フランス書院
(2012-09-12)

作家買いして、スピンオフと知らずに買った。
『夜明け〜』の加瀬が主人公。
前作と出版社も違うから、本当に驚いた。

久し振りに好みの凪良作品だった。
加瀬の話だ!と気付いて、1ページ目からテンション高くなった。しかも、受で嬉しい〜!!と朝からウキウキ読んだ。
そんなに加瀬が好きだったのか、自分……。なぜ…。

火事の場面が切なかった。事情も知らずに、シャツ1枚のために火の中に入る阿木はいい人だ…。
あと、要と再会して、穏やかに話せたのはよかったなーと。

加瀬はDV攻だったのに、あまりに可愛くなってしまっていて、戸惑うほどだった。執着系の性格が、素直に甘えるという、いい方向に変化したようで。これだけ一途に懐かれたら、確かに、暗くてもデカくても、確かに可愛いと思う。
相談に乗るとか、印象的な言葉を与えるとかじゃなくて、普通の生活の中でちょっとずつ加瀬の心がほぐしていく阿木の優しさもよかった。お互いに惹かれた理由がよく分かるというか。

加瀬は確かにネガティブだけど、変ろうと努力してるし、変るための努力が役に立たないとは考えるほど後ろ向きじゃない。一足飛びには変れないだろうけど、もう人に暴力をふるったりしないだろうし、大丈夫だろうと思えた。

黒猫も可愛かった〜。
凪良ゆう | comments(0) | -

真夜中クロニクル

 上から目線で申し訳ないが(…)、久々に凪良さんの良さが前面に出た作品という感じ。
私の中では『恋愛犯』以来のヒット。

読み始めてすぐ、小学生攻…?!と戦慄したけど(それはもうショタが苦手で)、この子がよい年下攻に育ってくれたので、とっても楽しく読めた。
個性的なのに共感しやすいキャラもよかったし、二人の成長や変化を焦らず丁寧に、しかも飽きさせないテンポで描いてるのがよかったなあと。
恋愛だけでなく、もっとこうキャラの全般が描かれているというか。それでいて、しっかりラブストーリーで。
いや〜、本当いいものを読んだ。

「太陽の下に出られない病気」…これで苛められ、不登校になったっていう、わりと重たい話なのに、全体に暗さがない。いや、主人公の辛さも悩みもじっくり書いてあるんだけど、常に作者の優しい目線を感じるせいか、読みづらさがまったくなかった。
印象的な場面も多かったし、さすが凪良さん、という1冊だった。
凪良ゆう | comments(0) | -

散る散る、満ちる

凪良 ゆう
心交社
(2010-07-10)

 コメディでもなければ、変った設定でもない凪良作品ってことで期待していたのだが、期待以上に楽しめた。
リーマン、しかも年下攻(部下)という設定も個人的な趣味の問題で嬉しい。
職業ものとか事件もののBLも好きなんだけど、やっぱりこういう恋愛が前面で全面なストーリーのほうが好き。
受の如月も攻の里見も有能でカッコいいリーマンなんだけど、適度に弱い部分を持っていて、キャラも地に足が着いているという感じ。かといって読んでいて疲れるほどのリアリティーもなく、白けるほどの作り物っぽさもなく、ある程度リアルな日常ものが好きな私にとっては夢を見やすい作品だった。

穏やかで優しいのに素直になれないというか…甘え下手な如月の不器用さは共感しやすかった。小さな見栄を張ってしまう気持ちも分かるなあ〜と。
その如月が家族扱いしている犬のロボットは、最初はいい大人がオモチャと会話…という感じで引いてしまったのだが、読んでいるうちに情が移ってくる。如月に同情して理解するというんじゃなくて、少しずつロボットの存在が大きくなっていって、無機物を「物」として見ずに人格を与えて愛する気持ちが分かるようになるんだと思う。ここらへんが上手いなあと。
本物の犬を出せば、大半の読者は出てきた直後に可愛いと思うだろうし、主人公がペットを愛する気持ちというのも説明や描写がなくても理解や共感を持てるし、人工知能を持ったアンドロイドなら「キャラ」としてすんなり受け入れるはず。けど、オモチャのロボットって微妙な位置のものを自然に「家族なんだな」と思わせるあたりがよかった。
…キンピラ(ロボットの名前)について熱く語りすぎたか。
あと、如月の住んでいる日本家屋&庭もよかった。

はじめのほうは里見の態度が図々しく感じ、攻は親友の榎本のほうがいいなあと思ったりした。二人の関係が進んでいくにつれて、無神経に思えた里見の態度が素直で気持ちに正直なだけなんだと分かってきて、少しネガティブなところのある如月にはぴったりな相手だと思えてきた。
里見が片思いの相手だった高橋から如月へと気持ちを移していく過程がまた自然な流れで、如月の視点だから里見の気持ちは少し見えづらいけど、ブレがないな〜と感心してしまった。

ちょっと地味だけど、等身大よりちょっぴり上ぐらいのキャラが魅力的だし、読後感がよくて面白い作品だった。
榎本のSSもすごく好みだった。とくに最後の2行が秀逸です。
凪良ゆう | comments(0) | -

夜明けには優しいキスを

凪良 ゆう
白泉社
(2009-07-17)

 

まず。テーマが重いし、暗い。普段なら避けて通るタイプの話。
読み始めた直後は、やっちゃったかな、って思ったんだけど。やっぱり凪良さんの文章には引き込まれてしまう。
キャラクターがまた、奥行きがあるというか、凝ったつくりになっている。あとがきで裏設定やらその後の話なんかを紹介してるけど、本編を読んでいても、そういうキャラの背景を感じ取れるような書き方だった。
それとキャラの台詞に、ハッとさせられるようなものがあった。ちょっと新鮮だったり、感心させられたり、いい意味で予想を裏切るものがあった。それに共感できるかどうかは別の問題だけど、読んでて面白かった。
しっかりしているように見えて、抱えている事情が事情なだけに脆いところのある要と、ちょっと暑苦しいけど(…すみません)自分の生き方を貫いているところがカッコイイ公平。まさにお似合いというカップルだった。
主人公の要は過去の罪を常に気にして、自分を過酷な状況に追いやって苛めることで、贖罪しようとしている。はっきりいって私には感情移入しにくいタイプなのだが、不思議と抵抗を感じずに読めた。
別の作家の作品でこれと似たような設定の話をいくつか読んだことがあるけど、主人公の罪悪感や苦しみまでは伝わってくるのに、行動が的外れだったり浅慮だったりして「贖罪」という言葉にリアリティがなく、ピンと来なかった。リアリティのない設定の話であっても、主人公の心情はリアリティを出さなくちゃいけない部分だと思う…。
この作品の場合、要の行動や考え方に終始一貫したものを感じた。常に罪の意識がつきまとっている感じがして、考え方が理解しやすく、心情部分でリアリティを感じた。正しいとはいえない方向にいっているので共感はできないのだが、かえって人間臭さを感じ、感情移入できるし、応援したくなる。
同じような題材を扱っても、書き方次第でこんなに面白くなるんだなあと。
あ、…やや上から目線になってしまった。気をつけないと。

ストーリーは主人公の過去の罪と、DV男の今カレとの関係が軸になっていて、かなり重苦しいものだが、きっちり丁寧に書かれているところがいい。痛いは痛いんだけど、ドロドロしすぎていないというか、気分が悪くなるというよりは悲しくなってくるような痛さで、後味は悪くなってない。痛い分、公平の優しさが救いになるし、要が少しずつ強くなっていくところが感動的だった。
要の罪は、ボランティアで話相手をしていた高校生の少女に告白されて振ったら、その子が「捨てられました」という書置きを残して自殺したというもの。
どちらかといえば要は被害者という感じなのだが、まったく責任がないとは言い切れない部分もあり、結果が重大なだけに罪悪感を持つのも当然だと思った。この匙加減?のよさで主人公に同情しやすくなったし、話に納得がいったんだと思う。この過去が分かることで主人公を軽蔑してしまうようなこともないし、かといって「なんで君が悩んでるの?」ということにもならない。
何も悪くない主人公が「全部自分が悪いんです」というのは、BLにはわりと多いと思うんだけど、そういうのは理不尽でかわいそうというより、単に思考回路が理解できないまま終わっちゃう…。(…健気受が苦手な理由その3)
この自殺した少女の件も公平に背中を押される形で決着をつけに行き、少女の両親との和解まで含め、端折らず逃げずにひとつひとつ解決していくところが良かった。
この後、要は自殺を図った元カレ(…またしても主人公が不憫です)加瀬を救うために、公平と別れる。恋愛至上主義じゃないところがBLとしては珍しい展開。でも要にとって必要なことだと思えるので、えーって思いつつも納得の展開だった。
そして要の気持ちを理解し、尊重してくれる公平にジーンとなった。別れないって言い張らないところに、愛情の深さを感じた。
ここらで加瀬が潔く(都合よく?)身を引いてくれることを期待したのだが、そう簡単にはいかず、要は加瀬と恋人としてではなく、友人として同居を始める。要の献身でちょっとずつ加瀬の心がほぐれていき、救われていく過程が素晴らしかった。…なんだかだんだん加瀬のことが好きになってきちゃった。それで最後にとうとう勇気を出して要を手放す場面で、またしてもジーンときた。なんといってもやっと要が幸せになれるときが来たし、加瀬が立ち直ってくれたことも嬉しかった。加瀬にも幸せになってもらいたいなあ。(あとがきで彼の未来が保証されてよかった。スピンオフが読めないのは残念だけど)

ラストの静かな朝の情景がよかった。暖かな気持ちで読み終えた。

凪良ゆう | comments(0) | -

恋愛犯―LOVE HOLIC

凪良 ゆう
白泉社
(2008-05-20)

季節が夏に向かうとある日、日永望は街中で高校時代のクラスメイト、勢田春人を偶然に見かけた。声をかけた瞬間、勢田は歩道橋から落下し、なんと記憶を失ってしまう。そんな勢田を日永は自分のマンションへ引き取るが、なぜか彼の過去を説明しようとしない。実は日永には、勢田をストーカーしたという過去があったのだ。歪んだ過去を封印したまま、2人の奇妙な同居生活が始まったのだが…!?罪にも似た妄執は、はたして本当の愛となり得るのだろうか?期待の新鋭作家がお送りする超問題作、新レーベルで堂々の登場。


ちょっと面倒なあらすじなので、久しぶりに引用。でもちょっとだけ本編読んだ後だと違和感が。攻の日永視点だから「なぜか」とか「実は」っていう展開ではないのだが…。

わー、ストーカー攻だ。木原作品みたい〜とか思った時点で自分にストップをかけた。いまや一番売れているBL作家の一人と新人さんをくらべるのもどうかと思うし、くらべてしまえば作品の出来は関係なく、2番目に読むほうがつまらなく感じるに決まってる。
というわけで仕切り直してから読んだのだが、文章は読みやすいし、じっくり描かれるので面白い。読むのを中断したとき、これ前にも読んだことなかったっけ?とそんなわけがないのに思ってしまった。私は作品に引き込まれると、たまにこういう既視感が起こることがあるので、相当集中して読んでいたのではないかと。
うーん、ストーカーかあ、モラルの問題も厄介だし、痛い?とか警戒していたが、とくに痛くはない。警察に捕まろうが、学校でいじめられようが、家族に絶縁されようが、勢田のことしか考えていないので、読んでいるこっちも楽というか。
日永が粘着質であることは確かだが、不器用で一途な部分が大きく、歪みのほうはそれほどない。でも、ヘタレ攻は好きなのに、はっきりいって日永はまったく好みではなかった。頭が悪いとか社交性がないのはいいんだけど、やっぱり勢田以外への思いやりが欠如しているのは、どうにも魅力を感じず…。けどまあ、やりたいことにしか興味が向かないっていうのは、結構分かるし、日永がバイオリンを弾く場面は結構好き。
勢田が記憶喪失になってしまい、日永が他人のふりで引き取るあたりは、これだからストーカーは…という気分にしかならなかったし、若い刑事の「説教しても無駄」というような心無い台詞を思い出し、そのとおりになったなあと思ったりした。
それに引き換え、勢田は思いやりがあって、常識があって、芯が強い、魅力的なキャラだった。そんな勢田と暮らすうちに、日永も少しずつ成長していって、最後には自分から真実を打明けようとするところが感動的だった。
またしても警察に捕まってしまう日永だったが(…)、勢田が庇ってくれてハッピーエンドというのもよかった。普通なら嫌われてしまったままでも仕方のない日永の行動だが、きちんと思いが伝わっていたということで。勢田が日永を許し、惹かれた理由もよく分かるし、日永も周囲を思いやれるぐらいになってきているので、読後感もよかったし、面白かった。

次作も楽しみな作家さんだ。このブログではちょっと感想の数が少なくて寂しい「た・な・は行」の作家さんだし。いや、そんなことはどうでもいいんだけど、なんとなく。
凪良ゆう | comments(0) | -